イタリア共和国
ベルガモ
私は2017年から2019年、ユーロ圏であるイタリア共和国のベルガモという町にあるASST Papa Giovanni XXIIIという施設に留学しました。ベルガモという街はミラノの隣町で、人口は20万人程度、LCCメインの国際空港もあり、ミラノ三空港の一つとしてマルペンサ空港、リナーテ空港と役割分担ができています。近畿地方でいうと(関西空港、伊丹空港、神戸空港)のように役割分担がされている感じであったのでミラノからの位置関係で言うと大阪市に対する泉佐野市のような印象です。
病院自体の歴史は非常に古く中世ヨーロッパ時代にその原形ができたそうです。ASSTというのは厚生局のような略語(私の拙いイタリア語での理解なので間違っている可能性もありますが)で公的病院であり、Papa Giovannni XXIIIというのは、近年になりカトリックで列聖されたローマ法王ヨハネ23世を記念して、名前が変更になったと聞いています。病床数が1000床を超える病院で、心移植に至るまで全ての心臓血管治療が完結できる施設です。その中で、私は循環器部門のinterventional cardiology sectionに所属していました。
当時の私のボスは冠動脈イメージングの先駆者でありましたが、幸いにも循環器部門のイタリアの同僚達と仲良くなることができました。そのため、冠動脈イメージングの研究を行う留学ではありましたが、PCIだけでなくTAVI、MitraClipなどの手技やIMPELLA挿入など、最新の臨床医療にも参加することができました。PCIに関しても石灰化病変に対するshock waveとういう新しいmodalityを用いた治療も経験することができ、循環器臨床医としても有意義な留学でした。伝え聞くところによると、現在はユーロ圏の留学生でも自由に臨床医療に参加できることは難しくなり、私は実臨床に参加できるギリギリの世代であったようです。
海外留学は海外の臨床や研究に触れるだけでなく、その国の文化なども肌で感じることができると思います。加えて、留学中の日本人留学者との関係も築くことができることも非常に大きいです。ヨーロッパやイタリア国内の学会、または、クリスマスや何かと行事の都度に日本人の同志で集まり話しあったことも、非常に大きな経験となりました。新型コロナウイルス流行下の現在では、今後、留学や交流がどのような形になるかは想像できませんが、異文化にふれ様々な人々と交流を持つことができる海外留学は、機会があればぜひとも経験してほしいと切に願います。
和歌山県立医科大学 循環器内科
里神慶亮(2006年卒)