心房細動について
心房細動
心房細動は「心房」という部屋が痙攣したように細かく震え(=細動)、血液をうまく心臓から全身に送れなくなる不整脈です。年齢が上がるにつれて発生率が高くなり(特に60歳以上)、日本では70万人以上が心房細動を持っていると推定されています。
心房細動は持病のない方でも発生しますが、高血圧、糖尿病、心筋梗塞・弁膜症などの心臓病や慢性の肺疾患のある方は発生しやすく、またアルコールの過剰摂取、精神的ストレス時に発生しやすくなる方もいます。動悸や息切れ等の症状が発見のきっかけになることも多いですが、約半数の方は無症状で発症すると言われていて、定期的な健康診断で初めて発見されることも珍しくありません。
心房細動になると、何が困るのか?
①まずは、前に記したように動悸・息切れ等の症状を苦痛に感じることが多いです。また、胸痛や意識消失、軽い運動でも疲れやすいなど症状は多彩です。
②脳梗塞を起こしやすくなる。これは、心房が痙攣していると血液がよどみ、固まりやすくなることが原因です。心房の中で固まった血液(=血栓)が、心臓から流れ出し、全身の動脈を詰まらせる可能性があります。脳の動脈が詰まると脳梗塞になりますが、腹部や足の動脈が詰まることもあります。
③心臓の機能が低下しますので、心不全という状態になりやすいです。
心房細動の治療は、薬物治療・電気的除細動(心房細動を停止させる)・カテーテルアブレーション治療(心房細動の根治を目指す)・ペースメーカ植込み手術の組み合わせで行います。特に、薬物治療の1つである抗凝固療法(=血をサラサラにする)は、脳梗塞を予防するために多くの患者さんにとって大切な治療になります。その他の治療は、患者さんの症状・年齢・持病の種類などを考慮して、よく相談して決めていきます。何か相談がありましたら当科外来受診も検討してみてください。
和歌山県立医科大学 循環器内科
黒井 章央