和歌山県立医科大学 内科学第4講座 循環器内科和歌山県立医科大学 内科学第4講座 循環器内科

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心不全について

心不全

 心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。
 心臓が悪くなる原因は高血圧、心筋梗塞、心筋症、弁膜症、不整脈、先天性心疾患などたくさんありますが、いずれも病気の進行とともに最終的には心不全を引き起こすと考えられます。和歌山でも高齢化に伴い心不全の入院患者さんが年々増加しています。
 心臓の働きが悪くなると身体が必要とする十分な血液を全身に送り出せないため、息切れ、むくみ、食欲低下、腹部膨満感などの症状が出てきます。
 まず行う検査は心電図、レントゲン、血液検査、心エコー検査です。血液検査では心臓の負担の程度をあらわすBNP(ビーエヌピー)の値が重要です。心エコーでは心臓の大きさや壁の厚み、収縮力、拡張力、弁膜症、負荷の程度など評価します。これらの検査で異常が見つかった場合はより専門的な検査を勧められることがあります。当院では心肺運動負荷試験、CT、MRI、シンチグラフィー、カテーテル検査などの専門的検査の体制が整っており、心不全の原因特定、心不全の重症度判定に役立てています。

  • 心臓MRI検査の実際
  • 心臓MRI検査を利用した心筋症の診断
  • カテーテルによる心筋症の精密検査(心筋生検)

 心不全の原因がわかれば治療です。食事は減塩食が重要です。内服薬にはβ遮断薬、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、利尿薬などがありますが、近年、SGLT2阻害薬やARNI(アーニー)などの新薬が心不全に有効であることがわかってきました。その他、冠動脈狭窄に対するステント留置術、弁膜症に対するカテーテル治療、植込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)などの手術リハビリテーションも行っています。
 当院では専門知識を持った医師、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士などが協力して心不全患者さんの診療にあたり、再発予防策を提案しています。さらにかかりつけ医やケアマネジャー、訪問看護師などとの連携も重要であり、「地域で心不全患者さんを支える」を合言葉に地域での多職種連携にも力をいています。

和歌山県立医科大学 循環器内科
谷本 貴志